2009/04/01

コールドケース| Book No.197-1

文庫判・256
200904月発売(Book No.197-1)

出版社 / カテゴリー:
集英社文庫 / 15 長谷川美枝子+向井弁護士シリーズ

帯キャッチ:
時効の壁に挑む! 透視捜査官VS元刑事

あらすじ:
◎いまから30年前、大学生の千石健志郎は親友・高嶋真彦の恋人・黛京子をレイプ同然に犯した。それからまもなく、千石は親友の高嶋から「彼女を妊娠させてしまった」と悩みを打ち明けられる。

◎千石は、京子が自分にレイプされたのを隠したまま最愛の高嶋に妊娠の事実を告げたと推測。ではお腹の中の子の父親はどちらなのか、確率50パーセントの行方に慄然とした。

◎やがて京子は女の子を出産。DNA鑑定のなかった時代、女児の血液型の表現型だけから考えると、千石にも高嶋にも父親の可能性があった。ところが、三週間後に悲劇が起きる。

◎夜、京子が赤ん坊とともに住むアパートの部屋から出火。女児は何者かに助け出されたが、京子は焼死。さらに三日後、こんどは高嶋が千石を巻き添えにする形で車ごと崖から転落死した。

◎重傷を負ったが生還した千石に、アパート火災を調べていた春日刑事は大きな疑念を抱き、逮捕を目指して捜査を進める。だが、決定的な証拠を欠いて逮捕を断念。火災も車の転落も事故として処理されたのち、千石は無事に大学を卒業し、社会人となった。

◎それから30年後、退職して隠居同然の暮らしを送っていた元刑事の春日は、あのときの学生・千石健志郎が、超能力を使って行方不明少女の遺体を発見する様子をテレビの特番で見て愕然となる。

◎いつのまにか千石は、テレビ局の辣腕プロデューサー久住知恵の手がけた特番シリーズ『真実のレンズ』において、コールドケース(=未解決事件)を解明するカリスマ透視捜査官として有名になっていたのだ。

◎しかし、自らが起こした犯罪をコールドケースに導いた男だからこそ、ほかの未解決事件の真相も読み取れるのでは?

◎そう思った春日はひさびさに刑事魂をかきたてられ、30年前に履いていた革靴と手帳を引っ張り出し、透視捜査官の正体をあばくことに執念を燃やしはじめる。

◎同じころ、焼死した黛京子の遺児・早苗が、私の母は30年前に千石健志郎に殺された、とネットに書き立て、騒動を起こす。

◎ノンフィクション作家の長谷川美枝子も、千石の超能力を完全に否定する立場から調査に乗り出した。ところが、よりによって美枝子の恋人である向井明弁護士が、千石を殺人犯呼ばわりした黛早苗への名誉毀損訴訟の法定代理人を務めることになった!

◎美枝子は激怒し、犯罪者の代理人を務めるのはあなたの社会生命を傷つけるようなものだと明に代理人の降板を促すが、明はその判断は自分ですると言って譲らない。

◎果たしてカリスマ透視捜査官は30年前に殺人を犯していたのか? TV番組で見せた透視能力は本物なのか? ピンポイントで遺体の場所を当てられた哀れな少女は、じつは千石によって殺されたのではなかったか?

◎時効の壁を乗り越えて、もはや法的には裁けない30年前の真相にたどり着くのは長谷川美枝子か、向井明か、それとも30年越しの執念で追いかける元刑事の春日か。

◎大好評「長谷川美枝子+向井明」シリーズ第三弾!

ミニ解説:
▽ 30年前の真実と、現代における透視捜査の真実とが複合的に絡み合った構成となっています。

▽ 都電荒川線沿線は魅力ある場所で、起点の早稲田から一駅先にある「面影橋」が舞台です。

クレジット:

装幀・松沢順一郎
編集担当・伊藤木綿子