2009/12/01

八甲田山殺人事件| Book No.202-1

新書版・296
200912月発売(Book No. 202-1)

出版社 / カテゴリー:
JOY NOVELS(実業之日本社) / 03 温泉殺人事件シリーズ

帯キャッチ:
東北の秘湯・酸ヶ湯温泉 死を招く鳩笛の調べ

あらすじ:
◎ある事件の捜査会議で発言を求めて立ち上がった志垣警部は、その瞬間、ギックリ腰に見舞われ、そのまま警察病院へ入院した。医者からは肥満とストレスが原因と言われ、捜査一課長から長期療養を申し渡される。

◎そして人生初の湯治に訪れたのが、八甲田山麓の秘湯・酸ヶ湯(すかゆ)温泉だった。ヒバ千人風呂の混浴で知られるレトロな名湯で徐々に健康を取り戻した志垣は、風呂場で偶然出会った野中貞子とともに八甲田ロープウェーに乗り、紅葉の絶景を眺めながら山頂の散策をする。

◎ちょうどその散策コースに、人気急上昇中のファッションモデル小嶋英介が女を連れ歩いていたという噂話を耳にするが、さして関心も持たないまま翌日、志垣は東京へ戻り、やがて元気に現場に復帰した。

◎それから二カ月が経った十二月の中旬。有名ニュースキャスター観崎真次郎の娘・亜沙子が、世田谷区二子玉川の再開発に取り残された質素な木造アパートで、浴槽いっぱいに氷のブロックを満たすという異様な氷漬けの状態で死んでいた。そして現場のドアには「八戸ノサトニカエル」という謎のメッセージ。さらに押し入れには一冊のスケッチブックが残され、謎めいた十五枚の絵が描かれていた。

◎そのアパートは、亜沙子の恋人である人気モデル小嶋英介が借り主となっていたが、彼自身は都心の高級マンションに住んでおり、亜沙子が死んだ部屋に実際に住んでいるのは正体不明の女であることがわかった。

◎謎めいた変死事件に英介の関与が疑われたが、こんどは彼も雪の八甲田山で、顔を潰された無残な姿で見つかった! そこは二カ月前に湯治中の志垣が散策した場所でもあった。そして英介の死亡推定時刻に、鳩笛の調べを聞いた人間がいた。

◎亜沙子も英介も人柄のよさで知られ、誰かに怨まれる理由がまったくわからない。しかし、亜沙子との結婚を望んでいた英介が謎の女と浮気をし、三角関係がもつれた結果の悲劇としか,志垣には思えなかった。

◎だがスケッチブックに残された不思議な絵と、ドアに刻まれた「八戸ノサトニカエル」という落書き、そして郷土玩具の鳩笛から、志垣と和久井ら捜査陣は、東京と青森の秘湯を結ぶ、意外な事件の真相にたどり着いた!

ミニ解説:
▽ 志垣警部と和久井刑事の温泉シリーズ第24弾。こんどの舞台は青森県を代表する秘湯・酸ヶ湯温泉と八甲田山です。

▽ 作者も実際に酸ヶ湯温泉旅館の湯治部に泊まったことがあり、その経験も踏まえたうえでの執筆です。

クレジット:
編集担当・加古淑